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「誰も知らない」

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TOHOシネマズで「誰も知らない」を観て来ました。
今年のカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した「柳楽優弥」君を始めとして、5人の子供達の1年を描いた映画です。

【story】
トラックからアパートに荷物が運び込まれてゆく。引っ越してきたのは母けい子(YOU)と明(柳楽優弥)、京子(北浦愛)、茂(木村飛影)、ゆき(清水萌々子)の4人の子供たち。だが、大家には父親が海外赴任中のため母と長男だけの二人暮らしだと嘘をついている。母子家庭で4人も子供がいると知られれば、またこの家も追い出されかねないからだ。その夜の食卓で母は子供たちに「大きな声で騒がない」「ベランダや外に出ない」という新しい家でのルールを言い聞かせた。

子供たちの父親はみな別々で、学校に通ったこともない。それでも母がデパートで働き、12歳の明が母親代わりに家事をすることで、家族5人は彼らなりに幸せな毎日を過ごしていた。そんなある日、母は明に「今、好きな人がいるの」と告げる。今度こそ結婚することになれば、もっと大きな家にみんな一緒に住んで、学校にも行けるようになるから、と。

ある晩遅くに酔って帰ってきた母は、突然それぞれの父親の話を始める。楽しそうな母親の様子に、寝ているところを起こされた子供たちも自然と顔がほころんでゆく。だが翌朝になると母の姿は消えていて、代わりに20万円の現金と「お母さんはしばらく留守にします。京子、茂、ゆきをよろしくね」と明に宛てたメモが残されていた。

この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの"漂流生活"が始まった―――。
                                          [公式サイトより引用]

あまり邦画を観ないあたしは、「柳楽君」には興味があったものの、友人に勧められなければ多分観なかったであろう映画。
母が好きな男性と一緒に生活をしたいがために家を出てしまい、残された4人兄弟が子供だけで生活していく様を、淡々としたタッチで2時間20分に渡って描いたドラマです。

引越してくるときに、引越し荷物を運ぶトラックに詰まれたスーツケースが2つ。
その中には次男と次女が詰め込まれており、運送会社の作業員が荷物を運び終えるのを待って蓋が開けられ、二人の子供達が「暑いよ~」と出てきます。
人目を忍んで夜の闇に紛れて部屋に走りこむ次女。
ようやく揃った家族全員ですが、母親の悪気のないアッケラカンとした言葉に、そういう生活を笑顔で受け入れています。

母親が家を出てからも、子供達は母親の言いつけを守り、洗濯担当の次女が人目を憚りながらベランダに出る以外、下の子供達はベランダにすら出ません。
9万5千円の家賃の3LDKのアパートの一室が子供達の世界の全て。
唯一外出を許されている長男が、買い物をし、家計簿をつけ、やりくりをしながら兄弟の面倒をみていきます。

母が置いて行った20万が底を尽きそうになったとき、長男は母の昔の男を訪ね歩いて5千円ずつのお金をもらってきます。
二ヶ月ぶりに着替えをとりに一旦戻った母親は、その話しを聞き、「彼らも不景気だからしょうがないねぇ・・・。でもまた困ったことがあったら行くんだよ」と言うのです。
その母親が再び家を出て行く時、ボストンバッグを持って駅まで送りながら、「いつになったら学校に行けるの?」「僕達のこと、その人に話したの?」と聞く長男に、「そのうち言うわよっ!」「あたしは幸せになっちゃいけないの?」と言う母。
言い返すこともせずに見つめる息子に、「クリスマスには帰ってくるから」と言い置いて、駅の雑踏に消える母。
その母をじっと見送る長男の顔は、なんともいえない複雑な表情を浮かべています。

結局母はクリスマスには戻らず、携帯も繋がらず、勤務先に電話をすると先月で退社したといわれ、送ってきた現金書留の封筒から電話番号を調べて電話をかけると、母親が自分たちとは違う苗字を名乗って電話にでます。
それを聞いた長男は、受話器を兄弟が遊ぶ声のほうに向け、しばらくして黙って電話を切るのです。

お金が尽き、電気もガスも水道も止められ、公園で用を足し、公園の水道で洗濯をし、鉄棒に干す生活。
バケツとペットボトルで水を汲んで家に持ち帰り、食事はコンビニの賞味期限切れのおむすびをもらって食べる。
新しく綺麗だったTシャツは綻び、靴は小さくなり、髪も伸び放題になっても、それでも母親は帰ってこない。
ついに母親が帰ってくることを諦めた長男が、母親の衣類を売りに行こうとすると、長女がその服をかかえて押入れにこもってしまいます。

誕生日だからきっと帰ってくるはずだから駅まで迎えに行くと言い張る次女を連れて駅に行く長男。
しかし、もちろん母親は帰ってこない。
それでも母を待ちわびる次女の身に、ある事件がおこります。


淡々と描かれている4人の日常生活。
お金がある間は家計簿にレシートを貼ってやりくりをし、どんなにお金がなくなっても、万引きや援助交際に嫌悪感を示す長男。
母親不在が1年近くなってやっと家を出ることにした子供達が遊ぶ公園で、次男が上った遊具の泥を手で払い落とす長女。
ドリルで勉強をし、カップラーメンの器に工事現場で集めた土を入れ、雑草の種を撒き、ベランダで育てる子供達。

その子供達と接する大人はといえば、どんどん汚れ、着る物もボロボロになっているにも拘らず、買った商品を袋に入れ、お金を受け取るだけのコンビニ店主。
滞った家賃を取りに来て、散らかった部屋の中に子供が4人いることに気づいても、「親戚の子です」と言われて帰ってしまう大家。
「俺はお前のおかーさんとやるときはゴムつけてたから次女は俺の子じゃないぞ」と言いながら、5千円札を手渡す母の元彼。

唯一彼らを受け入れ、行動を共にするのは、友人に自分の葬式ごっこをされるいじめられっこの中学生の少女だけ。

今日食べるものにも困っている子供達なのに、母が持っているのは、スーツケースもボストンバッグもヴィトン。
洋服は全てクリーニングの袋がかかっている。
長女が母の匂いを懐かしむのは、真っ赤なアナスイのマニキュア。

なけなしのお金から、お正月に兄弟達へのお年玉を出し、通りすがりの大人に宛名書きを頼む長男のことを知っても、多分あの母は「ありがとね~♪さすがお兄ちゃんね」と笑顔で返すだけなのでしょう。

子供を持つ母親にとっては、胸につまされる映画かもしれません。
あたしにとっては、その逞しさとせつなさとやるせなさは、涙を誘うというよりも、彼らを取り巻く大人や社会に対する怒りを覚えました。
ただ救いだったのは、与えられた環境を受け入れるしかない子供達の、必死で生きる姿と、それでも失わない笑顔と矜持。

切なく、哀しく、やるせなく、悔しく、腹立たしい、けれどどこか優しく暖かな、とても重い映画でした。

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Comments

この映画、実はとても見たいのですが、怖くて見れないのです。
脚色はあるにせよ、実話というのも余計に切ないです。
胸がしめつけられる。。。。

Posted by: | October 26, 2004 at 07:58 PM

友人達の感想によれば、同じ年代のお子さんを持つ方や、子供を連れて離婚を経験された女性には痛い映画のようです。
あたしは身につまされるというよりは、あの子供達の1年間を見続けてきた周りの大人や社会が、その変化に気づかないということのほうに恐怖を感じたのですが・・・。
他人との関係が希薄になりつつある現代の歪みを感じました。
映画館でなくとも、レンタルDVDやビデオを借りて、一人でゆっくり観るのもいいかもしれませんよ?^^
・・・・のめり込み過ぎて尚更怖いかな^^;

Posted by: Shion | October 27, 2004 at 02:23 PM

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Posted by: ルミノールマリーナ40mm | December 16, 2013 at 01:05 PM

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